合同説明会は、忘れられるのが前提。だから“持ち帰ってもらえる”採用マンガをつくった
木村情報技術が、自社の新卒採用(コーディネーター職)でMOOTOON BIZを使った取り組み。
「イベント企画営業って、実際に何をする仕事?」——学生にいちばん伝わりにくい仕事を、どう伝えるか。木村情報技術は、自社の新卒採用に採用マンガを取り入れました。舞台は2026年6月に都内で開催された合同企業説明会。作ったのは、会社紹介ではなく「新人コーディネーターの1ヶ月」を追う一人称の物語です。“作り手”が自社の採用で使ってみて分かった、その狙いと手応えを紹介します。
背景:いちばん伝わりにくい仕事を、短時間で伝える難しさ
募集職種は、医療業界向けWeb講演会の企画・運営を担うコーディネーター。顧客は製薬会社、接する相手は現場の医師という、学生の生活実感からもっとも遠いBtoBのさらに専門領域です。「Web講演会でシェアNo.1」と言っても、そもそもWeb講演会自体を知らない学生がほとんどで、強みを説明する手前で止まってしまいます。
しかも合同説明会は接触時間が極端に短く、会社と仕事の両方を理解してもらうのは物理的に困難でした。従来の求人票・会社案内・スライド・チラシは読んでもらえない、配ったチラシもカバンに入って終わり、立ち寄った学生を次のアクション(LINE登録・選考会予約)につなげる決め手がなかったのが正直なところでした。
なぜ「漫画」だったか
きっかけは、経営会議で「コーディネーター課の人員が追いついていない」という現場の課題が上がったこと。増員が急務という話の流れで「動機づけにマンガを作ってはどうか」という案が出ました。マンガありきではなく、課題から逆算して出てきた打ち手です。ちょうど自社でAIマンガプラットフォーム「MOOTOON」を開発していたため、まずは自社で使ってみようと。読むハードルが低く直感的に伝わるマンガは、滞在時間の読めない合説にこそ向いているだろう、という判断でした。
どんなマンガをつくったか
題材は「新人コーディネーターの1ヶ月」。会社概要ではなく、次の3点に絞りました。
- 仕事の1日・1ヶ月の流れ
- 医療情報を医師に届ける社会的意義
- 未経験の新人が立ち上がっていく過程
こだわったのは、新人の一人称で描き、学生が自分を重ねられること。そしていいところだけを描かない——仕事の楽しさと辛さの両方を混ぜ、合説のブースで立ったまま1回で読み切れる分量に収めています。
制作:ネームは1時間。直したのは“細部だけ”
構成(ネーム)は、イベント運用本部の責任者が通常業務の合間に1時間で作成。その後の作画・仕上げを進め、現場の管理職・メンバーのレビューを通しました。直したのは、描写として不適切だった一場面と、配信スタジオの機材を実物に近づける修正くらい。ゼロから作り直すような手戻りはなく、「現場が見て違和感のある箇所だけを指摘してすぐ直せる」というスピード感が、社内で評価されました。
現場での使い方:iPad+QRで“その場で読ませ、持ち帰らせる”
合同説明会のブースでは、立ち寄った学生にiPadでその場で読んでもらいました。声のかけ方は「マンガだから気軽に読んでね」。説明を聞くだけで終わりそうな学生にも、これなら渡せます。配布チラシ(A4・2枚)は役割を分け、裏面をマンガ面+本編に飛ぶQR(=興味喚起)、表面を選考会の案内(=行動喚起)に。読み終わったタイミングで、選考会案内とLINE登録につなげました。
今後は、各ライブ配信スタジオへの設置(顧客向けの事業紹介にも)、採用サイト・公式LINE・職種特化セミナーへの展開も予定しています。
反応・手応え
いちばんの手応えは、学生からの「マンガだから、最後まで読んでしまった」という声。文字資料では起きなかった反応です。ブースでの滞在時間が伸び、読後の会話が「何の会社ですか?」ではなく、仕事の中身への質問から始まるようになりました。
そして現場が最も価値を感じているのは、「その場で刺さる」ことより「持ち帰ってもらえる」こと。合同説明会は、他社も一斉に接触してくるため、帰宅した時点で忘れられるのが普通の場です。15分の説明の後にマンガを読んでもらうことで、会社の記憶が「話を聞いた」から「物語として残った」状態に変わる。チラシ裏のQRから自宅でも読み返せるので、“持ち帰ってもらえる”手段になりました。
社内では、制作を主導した責任者から「スピード感を持って仕上げてもらえて満足」「実際のコーディネーター業務を分かってもらえる内容になっている」との評価。採用向けに作ったものが、社内評価を受けて事業紹介ツールへと広がっていく動きも生まれています。楽しさと辛さの両方を描いた分、ミスマッチの抑止にもつながっている感触があります。
担当者コメント
合同説明会は、その日のうちに忘れられるのが当たり前の場です。15分の説明を聞いて、そのあとマンガを読んでもらう。それだけで、帰ってからも興味が続く。学生から「マンガだから最後まで読んでしまった」と言われたときに、これは持ち帰ってもらえるな、と思いました。
ネームを1時間で作って、あとはスピード感を持って仕上げてもらいました。現場から出た指摘も細かい微調整で済んでいます。コーディネーターの仕事はイメージしづらいので、楽しさも辛さも混ざったマンガにしました。実際の業務を分かってもらえる内容になっていて、満足しています。
まとめ
「読めば分かる」資料は、読まれなければ意味がない。マンガは「気軽に読んでね」と渡すだけで最後まで読まれ、しかも“持ち帰って”もらえる。伝わりにくい仕事ほど、要点の漫画化が効きます。